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第10話「天空ハイウェイ」by 種市 弦
この曲が出来上がるまでには涙ぐましい経緯があります。真っ青な空の下、とある高速道路を走っていた時にこの「天空ハイウェイ」っていうワードが落ちて来たんですね。タイトルが浮んだと同時に、メロディーやリズムやコード感などのサウンド面も自動的に存在してるといった、いわゆる名曲が生まれる「あらすじ」としては申し分ない状況。文字表記もこのまんまズバっと落ちて来たんで「こりゃあ良い曲ができるぞ」っていう思考パターンでもって意氣揚々と胸をトキメかせました。 ところが、最も大事だと言っても過言ではない歌詞が全く浮ばなかいんですよ。それからというもの毎日この曲の歌詞を考える日々に落ち入ってしまい、そして一向になにも浮ばないまま一年が過ぎていきました。
作曲家にとって「ボツとなって消えて行ってしまう曲なんて年間で数百曲もある」というのは普通のことですが、この曲だけはどうしても諦めきれなかったんです。(まあ必然なんですけどね。) 僕は一旦、この曲を完成させるぞという強い執着を捨ててみました。忘れたんです。すると、実に人の意識は面白いもので、来る時は何氣ないタイミングで当たり前の顔してやって来るんですね。今や僕の座右の銘「流れに任せる」ーこれを実行しただけなんですが「こう思ってる事を歌にしよう」って自分の中から勝手に湧いて来て。後は全てのワードがそこにピシっと収まる為に生まれて来たかのように落ちて来て、あれよあれよと完成に至ったわけであります。
この曲が僕にとって「アガル曲」である要因に、「自らの心情をリアルタイムに綴った歌詞である」という事と、「爽快にダンスできる」という二つがあげられます。僕にとって、リズムに身をまかせて体を揺らすという行動は呼吸するくらい普通のことで…いや、むしろもっと本質の自分に繋がれてる時間(空間?)になってるということなのか、とにかく歌ってて楽しいんです。そんな波動が皆様にも届けられれば幸い。 今回注目すべきはダンスするための二人の生き様=グルーヴであります。 僕の打ち込んだビートの上に、植田博之さんの生き様と僕の生き様が共鳴し合って二人だけの世界が創られているので、是非植田さんのエレキベースを弾く美しい姿を視覚的に着目しながら体を揺らしてご覧ください。